衝撃
「ありがとうございました」
「かまへん。それよりホンマに病院いかへんでええんか?」
「はい。休んでいれば落ち着くと思います」
「…せやけど」
朝。何時もなら誰よりも早く、そして元気に起きて朝の準備をする百香里。
だが今日はまず隣で寝ている総司を起こすことから始めた。まだ少し眠い中
総司が薄っすらと目を開けてみればおはようと微笑みながらも顔色が優れない妻の顔。
ビックリして飛び起きて何事かと尋ねたらちょっとだけ気分がよくないという。
「それより洗濯そろそろ終わりそうですから干してきてもらえますか」
「分かった。ちゃんと寝てるんやで」
「はい」
ちょっとやそっとのことで根を上げない彼女が頼るほど調子が良くない。
総司は言われた通りに動きながらも百香里が心配でならない。
本人は要らないというがやはり無理にでも病院へ連れて行くべきか。
「珍しいですね、兄さんが早起きなんて」
考えながらも干し終えてリビングに戻ると新聞を持って入ってきた真守。
「なあ、ユカリちゃんが俺に洗濯物してくれって言うんや。そんなもん何ぼでもしたるけど。
普段はそんなん絶対言わんやん?ちょっとダルいだけやとか言うてたけど、ほんまは
だいぶしんどいんとちゃうかな。医者に行く気はないみたいけど…」
「兄さんに頼るほど調子が悪いなんて。連れて行くべきでしょう」
「つう訳で、今日はお休みを」
「そうですね。昼までで帰っ……あ、いや、それは駄目です」
「ユカリちゃんを病院連れて行くんやで?ええやろそれくらい」
こんな時くらい一緒に居てやりたい。彼女だって強がってもそばに居て欲しいはず。
総司の抗議は尤もだと思う。けれど。真守は苦い顔をして。
「今日は月例会議がある日です。僕は出張があるので参加できない。
ですから兄さんには必ず出ていただきますと昨日確認したじゃないですか」
「そ、そうやっけ?…そんなん…そんなん…ええい!会議なんぞええわ!やめや!
社長命令でナシじゃそんなもん!俺はユカリちゃんを病院へ連れて行くからな!」
「しかし」
「会議らしやる間にユカリちゃんが倒れたらどうしてくれるんや」
「……、…そう、ですね」
「よし。ほな会議はナシで」
「どうでもいいけどさ、2人そろってクソ邪魔なんですけど」
「渉」
不機嫌な声に振り返るとパジャマ姿の渉。兄たちの気配を感じながらも扉を開けたら
自分よりも大柄な男2人が何やら険しい顔で会話中。先へ進めず邪魔で仕方ない。
どいてもらい椅子に座る。が、異変にはすぐに気づいた。何時もならすぐ聞こえる、
彼女のおはようございますの声がない。台所で朝食を作っている姿もない。
「ユカりんどした?寝坊?」
キョロキョロと周囲を見渡しながら総司に尋ねる。
「調子ええない言うて部屋で休んどる」
「マジ?何ぼさっとしてんだよ何とかしろよ。薬とかさ」
「せやから病院連れていくんや」
誰がなんと言おうと百香里を連れて行く。総司は何時になく強気。
真守も百香里の調子が悪いというのが頭にあって反論し難い。
そんな2人を面倒そうに眺め自分でコーヒーを淹れる渉。
「総司さん」
「ユカリちゃん」
何時の間に下りてきていたのか。パジャマ姿のままの百香里。
弟たちの手前そんな格好でリビングに来る事は今までなかった。
着替える気力もないのか、或いは総司たちの様子がおかしいと慌てておりてきたか。
兄が言うように確かに顔色はよくない。
「休むのはやめてください、本当に大丈夫なんです。休んでいれば」
「そんな顔でよう言うわ。あかん。病院行って先生に診てもらう」
「大事な会議があるんでしょう?」
「せやからそんなん」
「ああもう。いいよ俺が連れてくから。面倒だし、いいからユカりん準備してきな」
「そうしてください」
「……、はい」
渉に連れて行ってもらうのも少し躊躇われるけれど、予定のある総司よりはいいだろう。
百香里は軽く頭を下げ部屋に戻っていく。なんとか収まってよかったという表情の弟たちだが
気に入らないのは総司。何でそんなにも嫌がるのか。不機嫌そうに椅子に座る。
「何やねん。こんな時でも頼ってくれんのか」
「兄さん」
「嫁より会社優先するような男やない。…あんなんと違う」
「どうでもいいよ。けどさ、あんたがそんなシケたツラしてたらユカりん可哀想」
「渉の言うとおりだ。腑に落ちなくても今は」
「もうええわ。…ユカリちゃん見て来る。朝は各自好きなもん食べとけ」
こんなにも心配しているのに。いまいち百香里に頼られていないようで嫌な気分。
弟たちと話しても一向に収まらない。気持ちを整理するためにももう一度百香里と話をしよう。
総司は寝室へ向かう。ドアを開けるまでは彼女の態度に不機嫌でちょっと怒っていた。
「あ。総司さん」
「ユカリちゃん…」
けど、百香里が下着姿で振り返るとそんな気分は吹っ飛んだ。
「お腹ぽっこりしてきましたね。…ちょっと恥かしい」
「何言うてるん。めっちゃセクシーや」
順調に成長しているわが子。膨らんできたお腹を撫でながら恥かしがる彼女に
また此方ものぼせ上がる。愛しくて可愛くて。気づくとさっきまでの気持ちは何処へ、
総司は百香里をしっかりと抱きしめていた。この若くて艶やかな柔肌が懐かしい。
「こ、困りますっ…今そんな…ところ」
「…百香里…」
だんだん抱きしめるだけでは物足りなくなり彼女の甘い香りに誘われ
首筋に吸い付き舌を這わせる。手はギュッと抱きしめたまま。
まさかこんなタイミングでこうなるとは思わず百香里は軽い抗議。
「そ…総司さん」
「堪忍な。調子悪いのに」
やっと我に返り力を緩める。けどまだまだ彼女に甘えたい衝動。
なんとか抑えつつ少しだけ離れた。
でも少しくらいは触れていたくて抱きしめたままではあるが。
「その気にさせるだけなんて意地悪すぎます」
「どんな事でもええ。時間も気にせんでええ。電話してや。絶対やで」
「はい。…あの、総司さん」
「なに」
「着替えたいので手を離していただけますか?それとも着替え手伝ってくれるとか?」
「何でも言うてや」
あんなピリピリした様子で上がっていったからどんな事になるかと不安だったのに
義姉と一緒におりて来た時のあのしまりのない顔。やはり彼女には勝てない。
弟たちは安心したような呆れるような。真守はまだ少し渋る総司を連れて先に会社へ向かい、
渉も昼からは出社の為私服ではなくスーツに着替えてから病院へ向かうことに。
「あーあ。1日休み取ればよかった」
面倒そうに車に乗り込みエンジンをかける渉。
隣には百香里。
「あの」
「ん?なに」
「何でしたら病院に連れて行ってくれたら後は自分で帰りますけど」
「いくら何でもそりゃ無責任だろ。いいから休んでなって」
「…そう、ですか」
ちょっとソワソワして見えるのは休ませて申し訳ないと思っているからか。
そんな他人行儀にならなくていいのに。と思っても言わない。言えない渉。
まだ調子も悪そうで、大して会話も弾まないまま彼女が通っている産婦人科に到着。
その空気に少し戸惑う渉だがちゃんと最後まで百香里に付き添った。
「さきほど専務からお話は伺いました。心配かとは存じますが、
万事態勢は整っているとの事ですししっかりなさってください」
「分かってる」
その頃。ノックをして静に社長室に入ると席につきながらも見るからに元気の無い総司。
何時もなら強い口調でやる気を促す千陽であるが今回は比較的大人しい。
出張に出る前の真守から粗方話を聞いていて、それは確かに心配だと思う気持ちと
彼から多少の事には目を瞑ってやってやってくださいと言われているから。
「ではその内線電話と携帯から手を離して資料をちゃんと握ってください」
「せやけどユカリちゃんから電話かかってきたらどないするん」
「どないも何も。秘書である私がかわりに受けます」
「すぐに俺に繋いでくれるか。会議中でも何でもや」
「それは…」
「ユカリちゃんの事やからどうせ昼休みの時間やないと電話してくれへんやろけどね。
俺がどんだけ心配しとるとおもっとるんやろ。ほんま冷たいわ。…そこも可愛いんやけど」
ブツブツと百香里への文句のような単なるお惚気のような呟きをしながら携帯を戻す。
それでもまだ心は上の空。こんな調子で大丈夫なのだろうかと千陽は心配する。
嫁の事が心配でたまらないのは分かるけれど。
やはりビジネスの事もちゃんとしてもらわないと困る。社長なのだから。
「ご不興を買うでしょうけど言わせて頂きます。社長、もっとしっかりしてください。ここは貴方の会社です」
「俺の。…それやったら今日は休みにしたらええやん」
「……」
「というのは冗談や。やからそんな睨まんといて」
呆れながらも飛び出していかないだけ自制心はあるのだろうと話をすすめる。
今は嫌そうな顔をしていても仕事となるとやはり頂点たる実力を見せる人だから。
最初はどうなるか不安で仕方なかったのに。今は上司として信頼している。
と褒めた所で1番信用できて頼りになるのはもちろん専務だけども。
「何か」
「今真守の事考えてたやろ」
「はい?」
「めっちゃニヤっと笑ってたで」
「セクハラ発言ですね。訴えてもよろしいでしょうか」
「あかんよユカリちゃんに嫌われる!」
そこですか、という突っ込みを堪えやる気の無い社長を引っ張り仕事の話に持ち込む。
会議はもうすぐはじまる。それまでに出来るだけ彼のやる気ゲージを溜めなければ。
頼れる専務がいない今、それが出来るのは自分だけだ。
「なんですか」
「また真守の事考えてた」
「社長。本気で訴えますよ」
「堪忍」
がんばろう。
「どっか悪いってわけじゃなくてよかったな」
「はい。…でも、これからしばらくは続くみたいなので。ちょっと困りますね」
「しょうがないだろ。そういうモンなんだから」
「そうですね」
診察を終えて帰る途中の車。朝に比べてだいぶ調子が戻った様子の百香里。
特に異常があったわけではないと医師に言われて2人ともホッとしている。
総司に電話した方がいいのかもしれない。だが今は出来ない。会議の真っ最中。
「昼飯何がいいかな。何食いたい」
「え。また何か作ってくださるんですか?」
「何で俺が。買うつもりなんだけど」
「そうですか。残念」
「まじむりだって。そんな顔しないでよ」
「え?どんな顔してます?」
「……この策士め」
「え?」
百香里をちらっとだけ見てあとはブツブツ何か言っている渉。
特に何も考えてなかったのだが、悪い事を言ったのだろうか。
すいません、と謝ってみたが特に反応はなく。また沈黙。
何処か店に寄るのかと思ったが何処にも寄らずマンションに到着した。
『めずらしいじゃない。こんな時間に電話してくるなんて』
「お前、料理できるよな」
『え?うん。出来るけど。なに?今夜泊まりにくるって?いいよ。何が食べたい?』
「そんなんで電話するか。…何か手っ取り早く作れるもん教えてくれ」
『はあ?』
さっそく料理しようとする百香里を寝室に行かせて寝かせ、
自分は台所に立つ。が。何が何やらサッパリ分からない。
さすがにインスタントラーメンとかは出来るけれど。
そんなものを出してはいけない気がして悩んだ末梨香に電話する。
「ねぇならいいわ。じゃあな」
『ちょ、ちょっと待って!何なのいきなり。今何処に居るの?会社じゃないの?』
「昼まで休みなんだ。で、飯」
『うそ。渉が自分で?何も出来ないのに?あははははっ何か取ればいいじゃない』
「だからもういいつってんだろ。切るぞ」
『待ってて!私が作るから!』
「いい。来るな。面倒だから」
『まあまあ。彼女の料理の方が愛情篭ってて美味しいから。待ってて直ぐ行く!』
「来るなって。俺だけじゃな…あ、…切れた」
軽いため息をして受話器を戻す。やはり素直にデリバリーを利用すればよかった。
最近少しだけ料理を齧り始めた真守に影響されたのかも、なんて思いたくない。
梨香の事だから10分もすれば材料を買い込んでここに来るだろう。
朝ほどでなくても百香里はまだ本調子ではないのに、あのテンションは困る。
「あの」
どうしたものかと考えていたらおりて来た百香里。
「あんたは部屋から出るなよ。ああ、おっさんに電話しとけ」
「…大丈夫ですか?」
「梨香が来る。煩いだろうけど、気にすんな」
「梨香さんが?あ。じゃあ、着替えないと」
「そっちには行かせない。いいから。寝ててくれ」
事情がよく飲み込めないが行けというので大人しく従う。
昼食に梨香を呼んで2人で食べるということなのだろうか。
自分もそこに座るのならパジャマ姿はまずいきがするのだが。
ベッドに座って総司に直接繋がる携帯ではなく千陽に電話をかける。
もしまだ会議中だったら困るだろうから。まずは確認。
『はい。御堂です』
「百香里です。あの、総司さんはまだ」
『はい。もう5分ほどで社長室にお戻りになるかと』
「わかりました。また後ほどかけます」
『お加減が宜しくないとか…』
「異常はなかったので、少し休めば大丈夫です」
『そうですか。よかった。何か手が必要な時は何時でも仰ってください』
「はい。ありがとうございます」
携帯をしまいベッドに寝転ぶ。時計を見て5分後きっかりかけようと思った。
総司の声が聞きたい。本当は傍に居てギュッと抱きしめてくれたらと思うけど。
言えばずっと傍に居てくれるだろうけど、わがままは言えない。
「…総司さん」
皆に手を焼かせるのが申し訳なくて強がっても内心は怖くて不安でたまらなかった。
初めてだった。こんなにも調子がよくないのは。
だから何か不味い事をしたのかと思って。何処か悪くなったのかと思って。
考えながら寝転んでいたらだんだんウトウトしてきて意識が遠のく。
『ユカリちゃん。電話待ってたのに』
「…すいませんちょっと寝てて」
でもすぐに起きた。梨香の鳴らしたチャイムで。
渉に部屋にいろと言われたので顔は出さず。
かわりに10分も経過したが総司に電話。
『異常は無かったんやろ?』
「はい。母子ともに異常なし」
『よかった。ほんまよかったぁあ』
「心配をおかけしました」
『そんなんええんや。1番辛いんはユカリちゃんやし。俺なんか、みてるしかできへん』
「そんな事ないですよ。総司さんが見ててくれるって思うだけで勇気でますから」
『今日ははよ帰るからな。で、夕飯は俺が作る』
「総司さんが?楽しみ」
『昼からもまた電話して。声きかして。ええな?』
「はい。…します。だから、頑張ってくださいね」
『うん。がんばる』
昼からは1人でベッドに寝転んでいるだけだからきっと心細くなる。
家事をしたい、買い物をしたい、洗濯物を取り込みたい。調子が戻りつつある所為か
朝はそんな気はおきなかったのにウズウズしてくる。でも今日は安静に。ベッドで過ごす。
リビングからは何やら声がするのだが昼食はどうなっているのだろう。かなり空腹。
「だから。ンなこってりしたもんばっか作るなよ」
「いいじゃない。渉が好きなものばっかりだし」
「ユカりんも居るんだぞ。もっとこう、何かねーのか」
「なによ。百香里さんには気を使うんだから。大丈夫美味しいから」
「…そういう問題か?」
渉には来るなと言われたけど放置されっぱなしでお腹がグーグー鳴って仕方ない。
こっそりとドアを開けて階段を下りてみるといい香りがしてさらに空腹。
覗いてみるとテーブルの上には味が濃そうなボリューム満点の料理がずらり。
台所には梨香。持参したらしい可愛らしいエプロンをつけている。
「もし百香里さんが調子悪い日が続くなら私ここにきて代わりしようか。
つまり。私が百香里さんの代わりしようかってこと」
「は?お前が?」
「何よキョトンとしちゃって。そりゃ彼女みたいにはできないだろうけど。
でもこれからもっと大変になっていくだろうし。手はあったほうがよくない?」
最後の料理をテーブルに並べ満足げな表情の梨香。
そのまま傍に居た渉に抱きつく。見上げる視線は色っぽいけれど。
そんなつもりはなかったのに立ち聞きしている百香里は少し複雑な気持ち。
「食ったら仕事もどれ。俺も昼からは仕事だ」
「そう。私はまだ松前家の中には入れないってことね」
「何でもいい。さっさと食え」
「じゃあ頑張った彼女にキスしてよ」
「歳考えろ馬鹿」
それでも結局している所を見るに中々いい感じの2人。邪魔しては悪いだろうとこっそり寝室に戻る。
しかし空腹。パジャマでなければおりてもいいだろう。あのご馳走、頼めば少しくらいは分けてくれるはず。
お腹を鳴らしながら準備を進めているとドアをノックする音。
「はい」
「飯、出来たんだけど。食べる?」
「はい!食べます!お腹すごい減ってるんです!」
目を輝かせて言う百香里にちょっと引きながらもリビングへ。
先に席について食べている梨香。合流する百香里。そして渉。
なんだか変な組み合わせ。
「あ。そういえば。渉この前すごい気にしてた子居たじゃない」
「は?」
「ほら。女子高生くらいの女の子。ずーっと後姿見てたじゃない」
「…ああ」
気にせずガツガツ食べる百香里を他所に梨香は続ける。
最初は何の事か分からなかった渉だがピンときたようで、
その話は不味いからやめさせたいが彼女は気づいてくれない。
「この前母親と一緒に歩いてるのみたんだけど。そのお母さんっていうのがまた結構な美人で」
「そんなのどうでもいいだろ。いい加減にしろ」
「なんでそんな怒るの?まさかあのまま追いかけてナンパしてたとか!?」
「大声だすな」
浮気疑惑再浮上で苛立つ梨香だったがその怖い視線に押されて黙る。
その後、食事を終えて片づけをする彼女に掻い摘んだ説明。
百香里も手伝うと言ったが今日はもう休めといわれて部屋に居る。
はずだったのだが、やはりちょっとくらいは手伝わないと申し訳ない。
「梨香さ」
そう思っておりてきていた。が。また仲良さそうにしている2人に近づけなくて
さっきみたいにキスとかしてたら困るし。でも何もしないのも悪い気がする。
様子を伺っているうちに結果また立ち聞きすることに。
「そう。前の奥さんとの娘だったんだ。で、あれが前妻さん」
「もう二度とその話はするな」
「はいはい。ほんと百香里さんには甘いんだから。今はもう別れてるんだし、
それくらいどうってことないじゃない。気にしすぎだと思うけどな」
「そう思ってるうちは俺の家に入ろうなんて思うな」
「…何よ。もう」
梨香の言葉に暫し放心状態。
それでもなんとか意地で階段をあがりベッドに倒れた。
続く