デート


「総司さん」
「どないしたん急に」

朝。何時もなら早く会社へ行かせようとあまり構ってくれない百香里。
でも今日は違ってスーツに着替えている所でそっと背中に寄り添ってきた。
彼女がくっついてくれるのは嬉しい事ではあるが、何かあるのは間違いない。

「お願いがあって」
「何やろ。言うてみて」
「今度幼稚園のお母さんたちでバザーをやるんです。それで、その会議が水曜にあるそうで」
「遅くなるん?」
「出来るだけ早く帰りますから」
「ええよ。ゆっくりしてきたら。そういう繋がりは大事やしな」
「でも私そういうの初めてだから。何か粗相をしないか心配で」
「大丈夫やって。ユカリちゃん明るいし優しいから。そんな心配する事ない」
「…はい」

正面に彼女を抱き寄せてキスする。いつもはダメだと怒る百香里だが今回は許してくれた。
でも延々していたら流石に不味いとおもったのか顔を引き離された。

「パパ!いそがなきゃ!千陽ちゃんにおこられちゃうよ!」
「わかってるて。ちゃんと行くからそんな押さんといてママとキスできへん」
「ちゅーは後でいーの!」
「司は厳しいなあ」
「司。今日はパパに送ってもらおうか」
「うん。ほらほらパパいくでー」
「待ってやまだ靴はいてへんがな」

司に強引に引っ張られ会社へ向かう。その様子があまりにも面白くて笑っていると。

「漫才だなありゃ」
「ほんとうに」

珍しく2人一緒に出てきた真守と渉。彼らも親子の様子を見て面白いと思ったらしい。
渉は笑っていて、何時も朝は厳しい表情の真守も少し口角が上がっていた。

「お2人とも行ってらっしゃい」
「なあ、今日も遅いんだろ」
「義姉さんも無理はしないでください」
「はい。ありがとうございます」

みんなの見送りを済ませると何時ものように掃除をして出かける準備。
昨日から母の元へ行っている百香里。司にも少しの間我慢してもらうことになるけれど。
それも心配するなと夫や義弟たちが言ってくれたから安心している。

「司。ママすぐ迎えに来てくれへんけど寂しないか?嫌やったらすぐ言うんやで」
「だいじょうぶだよ。せんせいとお話ししてるもん」
「今日はお父ちゃん迎えに行ったるからな」
「うん」

助手席に座る娘は幼稚園で習ったという歌を歌ってご機嫌。
百香里が来れないから皆帰っていく中で1人待つのはきっと心細いと思う。
自分がすぐに行ってやれたらいいのだが、毎回となると出来そうにない。
司を送り届けると自身も急いで会社へと向かった。


「いいか。あんま余計な事司に言うなよ。言ったら下ろすからな」
「わかってるから。そんなムキになる事ないじゃない」

夕方、定時になりさっさと帰る準備をした渉が会社を出て向かうのは司が待っている幼稚園。
百香里の代わりに迎えに行くのは総司の役目となったのだが何かと忙しい社長に代わっての代打。
社長本人はギリギリまで駄々をこねて行く気満々だったが専務と秘書に怖い顔で止められて渋々了承した。

「あいつは何でも信じちまうからな」
「まるで私が嘘つきみたいだけど」
「事実を言ってるわけでもないだろ」
「…酷い言い方」

以前司に何れ自分と渉が結婚し家を出ると言ったら彼女がショックを受けていたようで。
それが気に入らない彼に散々怒られた。梨香は不満そうな顔をするが口にはしない。
した所でまた反論されるが車を下ろされるかのどちらかしかないから。

「お前ここで待ってろ」
「私も行きたい」
「待ってろ」
「…はぁーい」

暫くして司の通っている幼稚園に到着する。颯爽とおりていく渉。
スーツを着なおしたりして一体何を考えているのやら。梨香は呆れて視線を逸らす。
たかが姪っ子のお迎えにそんなウキウキするなんて。
それなら自分の子どもですればいいのに。相手はすぐ傍にいるのに。

「…パパ遅いなぁ」
「もうすぐ来るからね」

その頃司は総司が来るものとばかり思っていて皆が帰っていく中1人残りで寂しそう。
隣で一緒に居てくれるのは1番懐いている保母さん。

「パパはねママと司が居ないと泣いちゃうの。さみしがりやさん」
「そうなの」
「うん。だから早くこないかなぁ」
「ふふ。パパに似ちゃったね」
「え?」

キョトンとしている司の頭を優しくなでる保母さん。
寂しがりやなのはどの子も一緒。早く来て欲しいと心から願う。

「お歌でも歌おうか。紙芝居でもみる?」
「えっとね……あ。ユズだ!」
「え?」

そういうと靴をはいて走っていく司。その先に居たのはスーツの男性。

「ユズ!」

司は叫ぶとその男性にギュッと抱きつく。彼はそんな彼女を抱き上げた。

「いい子だったろうな司」
「うん!いい子だったよ。ねー!まなせんせ!」
「あれが保母さんか。挨拶でもしとくかな」

そしてポカンとしている保母さんの下へ。
司の父親は入園する時に若い母親と一緒に来たちょっと年上な男性だと知っている。
ではこの若い人は?司のお兄さんにしては歳が上すぎる気がする。あの奥さんはまだまだ若い。

「せんせ。ユズだよ」
「それじゃわかんないだろ。司がお世話になってます。この子の叔父です」
「あ、ああ。叔父様でしたか」
「父親がちょっと仕事で忙しいもので俺が代わりに来ました」
「そうですか。わかりました。司ちゃんまた明日ね」
「はーい」

ばいばいと可愛く手を振って渉に抱っこされたまま司は幼稚園を出て行く。

「ね、ね。あの人かっこよくなかった?」
「何を言ってるんですか」
「でも叔父ってことは父親じゃないんですよね」
「はいはい。わかったから」
「自分も気になったくせに」

車を駐車した場所まで戻ると中に梨香がいて彼女にも手を振る司。
梨香は笑って振り替えしてくれているものの何処か浮かない様子。
どうしたのかな?と尋ねるが渉は無視して司を後部座席に座らせる。

「パパは?」
「仕事で俺が代わりに来た。悪かったな待たせて」
「ううん。そっかパパいそがしいんだ」
「それより今日はどうだった。何やってたんだ」

迎えに来てくれたのは嬉しいけれど、父親が来なくて少し落ち込んでいる司。
そんな彼女をチラッと見て話題をかえることにした。司はニコっとして今日やったこと、
歌った歌、遊んだ子の名前など渉に楽しそうに話した。

「今度えんそくあるんだって。お休みだしパパも行けるよね」
「あのおっさん遠足なんか行ったら筋肉痛でひでえだろうな」
「パパ…ひでえの?」

もしかして行けないのかと心配そうな顔をする司。

「いや。運動させてやんないとダメって話しだ。いいからママにその話しとけ」
「うん。ねね梨香ちゃん。今日はお家でご飯食べる?」
「ごめんなさいね。今日は渉とデートだから。私たちは食べないの」
「そっか」
「飯食ってからでもいいだろ」
「何言ってんの。お店予約してるでしょ」

2人とも自分を送ったらそのまま家を出てしまうのだと聞いて残念そうにする司。
彼女は母親と同じように家族みんなそろってご飯を食べるのが大好きだ。
その為なら誰よりも帰りの遅い真守を待っている事も苦ではないくらいの。
だから最近では司を待たせまいと早く帰ってくるようになった。

「…ママいるかなぁ」

窓から見える街の様子を眺めながら司は少しつまらなそうな顔をする。
そんな事ないと言われてもやっぱり渉は梨香と結婚して去っていくのだ。
家族が減ってしまう。どうせなら梨香がこっちに来たらいいのに。
車はマンションに到着して司はエントランスへと向かう。入り方は分かっているからと1人で。
この時間なら百香里もいるだろうから心配はないと思うけれど。

「司」

渉は車を降りて司を追いかけ呼び止める。

「なに」
「あんま遅くならないからさ、土産期待してろ」
「うん」

ぽんぽんと頭を優しく撫でてやると嬉しそうに司は笑った。

「気をつけていけよ。迷うなよ」
「だいじょうぶだよママじゃないもん」
「どういう意味?司」
「げ!ママ!」
「げじゃないでしょう。渉さん、お世話をおかけしました」
「今来たのか?」
「いえ。メールを頂いたので迎えに。ほんと、すいませんお邪魔しまして」
「…梨香だな」

渉は苦い顔をする。梨香が母親にメールして迎えに来させた。話を早く進めるためだ。
こうして司は百香里に抱っこされた状態でマンションへと去っていった。
去り際此方を向いて手を振ってくれて。此方も振り替えす。

「ここって広いじゃない?1人じゃ危ないと思ったから母親に教えてあげただけ」
「さっさと飯するぞ」
「その後は?久しぶりなんだし、泊まっていくでしょ」
「店何処だった。ちゃんとナビしろ」
「…もう」

渉を見送った司。母親に抱っこされたままエレベーターをあがり廊下を歩いて玄関へ。
そこで下ろしてもらい一緒に中へはいった。生まれた時からここにいるので別段家が広いとか
綺麗とか意識したことはない。ただお爺ちゃんの家は大きすぎて迷子になって泣いたことがある。
手洗いとうがいをして自分の部屋に戻ると着替えてママのお手伝い。

「おなか空いたでしょ。先に食べちゃっていいからね」
「まてるよ。まだパパもマモも居ないもん」
「でも2人とも今日は遅いの。さっき連絡があってね、司は先に食べてていいからって」
「…そんな遅いの?」
「遅いの。パパもね、迎えにいけなくてごめんねって言ってた。許してあげてね」
「パパいそがしいもん。司わかるよ」
「ママと食べようね。司の好きなケーキもあるし」
「うん。ママと食べる」

料理を運びテーブルに置くと先に2人でご飯を食べる。
ママの手料理はとっても美味しいけれどやはりみんなで話をしたりしながら食べたい。
百香里に遠足の話をしたら3人で行こうねと笑顔で言ってくれた。少し安心。

「すみません遅れました」
「マモ!マモお帰り!」
「ただいま司」

真守が早足にリビングに入って来たのは2人がご飯を食べ終えて片づけをしている時。
よっぽど嬉しかったのか司は真守のもとへ走って行って彼にギュッと抱きついた。

「おかえりなさい真守さん。ご飯は」
「まだです」
「司がよそってあげる」
「お願いするよ」

真守は着替える為にいったん部屋に戻る。その間に司は料理をテーブルに並べご飯をよそった。

「おみやげ?」
「そうだよ。司が好きなケーキだ」
「けーき…」
「あれ。ダメ、だったかな」
「う、ううん。嬉しいな!ケーキだ!ね!ママ!」
「そうね。よかったね」

ケーキは皆が帰ってきてからにしようと百香里が買ってきたものが冷蔵庫にある。
けれどそれを真守に言うと申し訳ないので2人は口裏を合わせることにした。
冷蔵庫に入れておけば明日でも食べられる。大丈夫だろう。
真守からもらった箱を冷蔵庫に入れる。百香里のはこっそり奥の方へ隠した。

「ん?どうした司」

ご飯を食べる真守を頬杖をついてじーっと見つめている司。

「マモはデートしないの」
「相手が居ないからな」
「居たらするの」
「そうだな」
「ふーん」
「なんだ?」
「司もデートしたいなぁ。さそったら行ってくれるかな」
「誘いたい相手がいるのか?」
「うん。トモ君」
「トモ君…」

嬉しそうにトモ君という存在を明かす司に箸がとまる真守。そんな人物がいるなんて初耳だ。
てっきり自分か渉あたりだと思っていたから。予想外の相手。

「私の事すきなんだって。えへへへへ」
「司はどうなんだい。好きなのか?」
「うん。好き」
「ま、まあ。司はまだ2人で遊ぶには早いよ」
「えー。じゃあ何才ならいいのー」
「20歳だ」
「20?ってことは…いちにさんしごろく…わからん」

両手を使って数えようとする司だが生憎それだけでは足りないので彼女は数えることを止めた。
百香里が風呂をいれてきてと司にお願いすると素直に立ち上がり風呂場へ去っていく。

「義姉さん」
「は、はい。どうかしました?」

すかさず真守も立ち上がり台所で作業中の百香里に声をかける。
真守があんまりにも真面目な顔をするものだからちょっと驚いた。
そんな顔をするのはたいてい総司を会社に行かせる時や叱る時くらいだから。

「司の通っている幼稚園、大丈夫でしょうか。園児がデートなんて」
「ああ。トモ君ですか?遊ぶくらいいいじゃないですか、デートなんてそんな大げさな」
「知ってるんですか彼を」
「か、彼って。…はい、迎えに行くとよく一緒に居ますから」
「放っておいていいんですか。何か対策を考えないと」
「いいじゃないですか。仲良しで。トモ君よっぽど司が好きみたいで泣きそうな顔しちゃうのがちょっと可愛い」
「男の泣き顔なんて可愛くないですよ」
「ご、ごめんなさい」

本気で考えこんでいる様子の真守にポカンとする百香里。何処まで真面目に考えているのか。
園児の仲良し具合なんて知れている。一緒に遊んでおやつを食べてお昼ねするくらいのもの。
悩みこんでしまった真守だが司が戻ってくると何も無かったように席に戻った。

「ただいま」
「あれ。渉さん?」

暫くして手に箱を持って帰ってきた渉。今日は梨香とデートで帰ってこないと思っていたのに。
百香里は驚いた表情で迎える。

「司は?」
「今お風呂です。真守さんと一緒に」
「なんだよ嫌なタイミング」
「今日は早かったんですね」
「司にこれ食わせてやろうと思ってさ。あいつ好きだろここのケーキ」
「け…き」
「なに?虫歯でもできちまったか?」
「い、いえ。ありがとうございます喜びます」

百香里はケーキの入った箱を受け取る。まさかの3つ連続ケーキ。
しかも同じ店の同じ種類。司が好きなケーキは決まっているから。
どっしりと重たいので結構な量がありそう。こんなにどうしようかなと困りつつ冷蔵庫に入れる。
渉は着替える為に部屋に戻った。百香里は1人リビングでまだ帰ってこない人を待ち続ける。

「ママ」
「なに?」

風呂から出てくる司はちゃんと髪を乾かしてもらっている。自分ではまだ出来ないから真守に。
ソファに座って本を読んでいた百香里の膝に座る司は風呂上りで暖かい。

「パパおそいの」
「そうね」
「ママさみしいよね。でも司いるもん。ユズもマモもいるもん」
「ありがとう。みんな居るから全然寂しくないからね」
「ママ。えんそくいけるかな」
「行きますとも。パパも絶対行くからね」
「でもね。だめならだめでいいよ?」
「心配しないでいいからね。ほら、今日はどうするの?ママと寝る?」
「今日はマモと寝る」
「そう。じゃあおやすみなさい」
「おやすみなさい。パパにも言っておいてね」
「うん」

司のおでこにキスをすると彼女をおろし真守の部屋へ行かせた。
総司が帰ってきたのはそれから1時間ほど経ってから。
ご飯はもう食べてきたというので一緒にお風呂にはいることに。

「あー。その日はどうやろ」

湯船に浸かりながら司の遠足の話をする。
総司の事だから行けると即答すると思ったが思いのほか渋い表情。

「行きますよね」
「千陽ちゃんに確認してもろてからやないと何とも言えへん」
「行かないなら別居です」
「いいいっ!?べ、別居!?」

まさかの言葉に総司は大げさなくらい仰け反る。だが百香里は真面目だ。

「私の事ならなんだって我慢します。でも司には絶対に寂しい思いはさせません。
父親も参加するイベントなんですからもし来てくれないなら覚悟してください」
「そ、そんな怖い顔せんといて」
「私は本気です。これは渉さんや真守さんに代打は出来ませんから」
「わかった。行く。絶対いく」
「お願いします」
「そんな頭さげんといて。分かったから。嘘つかへんから。信じてや」
「はい。信じます」

父親の居ない寂しさを百香里はよく知っている。総司たちの家と違い暖かな家庭で優しい父親だったから。
余計に居ない寂しさは募った。物欲はなくても家族への憧れやうらやましさはあった。
だからこそ司には父親が大事で。出来るだけ傍にいてほしくて。
普段の仕事でおそくなるのは仕方ないとしても最低限のイベントは出て欲しい。脅してでも。

「あ。今ので萎んでしもた…」

総司はそういうと自分の下半身を見た。百香里も釣られて見る。

「そんな事ないですって。何時もこんな感じですよ」
「僕の息子はそんな小さいの?やっぱり…やっぱりユカリちゃんもそう思ってっ」
「大きいよりはいいんじゃないですか?適度で」
「適度って。…まあ、ユカリちゃんがええなら」
「いいですよ。あがりましょう。体洗いますね」
「うん」

風呂からあがると椅子に座る総司。その彼の体を泡の突いたタオルで洗う。
傍には司の可愛いキャラクターのスポンジ。

「あ…もう…総司さん…まだ流してる途中ですよ」
「ええやん。後は2人で仲良くながそ」

後ろでシャワーを流していた百香里を抱き寄せキス。いきなりで驚きシャワーを落とす百香里。
そのまま彼女を股を開かせたまま膝に座らせる。白くて柔らかなお尻を鷲掴みで揉み解しながら
指を後ろから中へと侵入させた。

「…ぁん…」
「ほんま可愛い。…あかんもう我慢ならんなってきた」
「ま、まってください。まだ…もうちょっと…して」
「そやね。もっと直接触ったろ」

お尻から伸びた手からの刺激と股の隙間に手を突っ込んで前からの刺激。
やりにくいだろうに総司は腰を屈め彼女の揺れる胸に吸い付く。
両サイドから攻められて百香里は快楽に歪んだ顔をして総司の首に手を回した。

「んっ…ぁんんっあ…ぁああっ」
「お尻の穴キュってなってるなぁ」
「そこは…ダメ…ですからね」
「ええのになぁ」
「したら別居します」
「あ。また萎んだ。…ユカリちゃん。覚悟せえや」
「あ。だ。だめ。そんな…ぅうっ」

総司が再び元気になるまで意地悪され何回か手でイかされて。
百香里からみても明らかに元気になっているのにそれでも念入りに舌で弄られて。
寝かされへろへろになっている所でやっと1つになって2人で果てる。

「あー…あかんわ…のぼせてきたー…ユカリちゃん大丈夫か」
「全然大丈夫じゃないです」
「せやけどこのまま抜いたらイかれへんやろ。なあなあ」
「あも…腰動かしながら喋らないでください」

困ったような顔をする総司。その下で百香里も顔を赤くして息が荒い。
壁にある鏡には夫婦の合体したままの下半身が曇りながらもかすかに見える。
あと少し頑張れば果てる気もするがその前にのぼせてクラクラする。

「よっしゃ気合いれてイクか」
「無理しなくても」
「無理なんかしてへんよ。ユカリちゃんを何処へも行かさん。俺と居るんや。司とずっと一緒や」
「司はいつかお嫁に行きますけどね」
「ほらー!ほら!ほら!またそんな萎える事いうんやもん!」
「だってそうじゃないですか。あ。今度デートするそうですよ。でもデートってうより遊びに行くみたいな」
「百香里。相手は何処のどいつや。いっぺん顔みせてもろてぶっさいくやったらもう」
「あなた」
「だって!だって!……だってなんやもん」
「私はちゃんと居ますから。ね」
「うん」
「とりあえずイキましょう。このままは辛いです」
「はい」


続く

2012/04/4